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取扱い天然石解説

アメジストスモーキー原石(ジンバブエ産)

鉱物名
クォーツ(石英)
宝石名
アメジスト、スモーキークォーツ
主要産地
ジンバブエ(南東部?)

ジンバブエ産アメジストスモーキー概要

2010年年代初頭ナミビア・ブランドバーグ産アメジストの衝撃は世の水晶コレクターの記憶に新しい。あまりに画一したその勇姿に心を奪われた方も多いことでしょう。以来、アフリカ大陸におけるアメジストは群雄割拠の様相を呈しておりナイジェリア(カラバル)、ザンビア(カリバ)、タンザニア(産地の詳細不明)、マダガスカル(産地の詳細は不明)と各地で目を見張るようなアメジストの産出が相次いでいます。
中でも近年話題をさらっているのが、2015年以降に市場を賑わせている「ジンバブエ産」ではないでしょうか。
アメジストとスモーキーカラーによる独特のカラーゾーニングと奇抜な形状を持つ圧倒的外観はこのところ元気のないブランドバーグアメジストに取って代わる存在として注目を集めています。
仕入れのルートの関係なのであまり細かなことは記述できないのですが、2020年11月にジンバブエ産アメジストスモーキー原石を入手する機会を得たので、これに関して書ける範囲での記述を掲載させて頂きます。

ジンバブエ産アメジストスモーキーの真の?産地はどこか

皆様が最も気になるのがその「産地(locality)」でしょう。
私も調べられるかぎり調べたつもりですが、何しろ情報が少ない。 日本語となるとほぼ皆無といえるでしょう。 我々にとってもアフリカ大陸は物理的距離にしても文化的距離にしてもあまりに遠く、未知の世界であることは言うまでもありません。
google先生やインスタも駆使しつつ、情報の欠片を繋ぎ合わせられる限り繋ぎ合わせました。
尚、唯一信頼あるソースとして上げられるのは、The JOUNAL OF GEMMOLOGY第36号(2019年)のジェムノートの記述であるAmethyst from ZimbabweとmindatのLocalityに関する記載のみでした。
現状においてジンバブエ国内で「この種の」アメジストが産出する(と記録されている、確定ではない)のは2カ所のようである。
ひとつは同国北部にあたるMashonaland West州のザンベジ渓谷内です。 こちらはmindatにも記録があり、写真も掲載されているのでご覧になってみて下さい。 Localityとしては「正しいと思われる」という記載に留まっており、validでなないのも注意すべき点です。
しかしザンベジ渓谷と聞いてピンと来た方もおられるかもしれませんが、このザンベジ渓谷北側、国境を挟んだザンビアのKaliba(カリバ)でも同タイプのアメジストが産出するのです。 こちらはすでにそこそこ有名でして国家規模での?採掘プロジェクトもあるようです。 ザンビア・カリバでの産出が間違いの無いものならば、同じ渓谷であるジンバブエのMashonaland West州で同じような水晶が採れるのは理に適っていると言えるでしょう。
しかしこちらの産地からのものは圧倒的に流通量が少なく、情報があまりに乏しいのでこれ以上わかることがありません。
もうひとつの産地が近年欧米を中心に急速に市場への流通が広がっているマケテ地区ゲザニ共同体所有地チブク鉱山からのアメジストスモーキーでしょう。いわゆる「シャンガンアメジスト」と呼ばれるものです。もはや当たり前のようにこの産地名が出てきますが、それはオリジナルであるアメリカ人実業家グループがその地名を発信したからだと思われます。
ところがこの産地ですが実際にはどこだかわからない。シャンガン族(ツォンガ族)の1部族であるゲザニ族の共同体地とのことだが、Matekeにしてもchibukuにしても地名なのか行政区画名なのかもわからず、当然ながらgoogle mapでは一切出てきません。チブクに至っては検索してヒットするのはビール関連の事ばかり(どうも地元で有名なビールの銘柄らしいが鉱山との関連性は見出せない)そこでアプローチをかえてツォンガ族に関して調べたのですが…
(これ以上の考察に関する詳細は現在公開しません)

今回シャンバラストーンズで取り扱っているアメジストスモーキーに関してはジンバブエ南東部(と思われる)という記載に留めさせて下さい。 ジンバブエのNewest Mineとしか現状言えず、産地がナゾなのは石の世界における定石のようなものです。特に未開の地であればあるほど確たる情報に乏しく、それも含めて石の面白さではないでしょうか。
いずれにせよ最近になって急に市場への供給量が上がっています。採掘規模が拡大したのか、近隣地区で大きな産出があったのかはわかりませんが、その一端としてこの「新産地」のロットを手に入れております。
規模が大きくなればなるほど、産地の情報は明らかになってくるはずですので追って情報を待ちましょう。

ジンバブエ産アメジストスモーキーの特徴

我々がロットから判断した考察や可能な範囲で集めた情報ですが、いくつかこの新産地の際立った特徴が浮かび上がりました。以下に記載しますので参考になさってみて下さい。

明瞭なアメジストのゾーニング

いわゆるブラジル産スーパーセブンやブランドバーグアメジスト、 その他多く産地のアメジストにも見られる特徴なので、シャンガンのみの特徴ではありませんが、アメジストがはっきりとしたゾーニングとして見られます。
特に錐面付近で顕著で強いゾーニングが確認され、中には上からみると明確なトラピッチェが見えるものもあります(金太郎飴のようにスライスすれば見事なトラピッチェとなるでしょう)
また、錐面に沿うように多層ファントムとしてのアメジストカラーが見られるケースも多々あるようです。他の産地のアメジストと比べてもゾーニングの濃さは際立っているように思えます。

稜線付近で特に色が強いスモーキーのゾーニング

この手の水晶はアメジストとスモーキーが共存するのは良くあるパターンですが(共に低温でSiの換置が起こる為と思われる)、ジンバブエ新産アメジストにおいても顕著に見られます。
全体的にスモーキーカラーに色づいているものもあれば、アメジスト同様にゾーニングしているものも多く見られます。 全体的に暗いスモーキーカラーで錐面付近に強いアメジストのゾーニングが見られるものが、この産地の「らしさ」のようにも思えます。
さらに特記すべき点としてスモーキーの色が稜線に沿うようにしてゾーニングが強いものが多く存在するということです。この稜線に沿って色が濃い現象はジャガレー形状になると異質なほどに際立ち、この水晶の「面白さ」を演出しているように思えます。
また上部ほどアメジスト、下部ほどスモーキーになりがちなのですが、上部錐面付近でアメジストのファントム層と同時にスモーキーのファントム層がみられるものもあり、パープルとグレーの山々が並ぶ姿は圧倒的に美しいです。

赤いヘマタイトインクルージョン

この種の水晶にはお馴染みのインクルージョンだと言えるでしょうか。
内包量の差はあれど7割8割の水晶の中に針状もしくは鱗状の赤い内包物が見られます。 我々がこの種の内包物を見るとゲーサイトやレピドクロサイトだと結論付けてしまいそうですが、これはヘマタイトだそう。
確かに海外業者の記述を見ても皆一様にヘマタイトだと書いてあります。 The Journal of Gemmology 36, 2019誌上にてジンバブエ産アメジストの解析を掲載したGIAのNathan博士もインクルージョンの正体はほぼ間違いなくヘマタイトであると結論付けておりました (しかし博士の論文はジンバブエ産アメジストの産地はunknownとしており、同じ産地なのかはわかりません。また我々も某研究所でX線解析を試みましたが、インクルージョンの露出部分がなかったので判別不能でした) 当然ながら、この赤いヘマタイトインクルージョンが多ければ多いほどコレクターの目を奪う魅力となりますが、いわゆる「スーパーセブン」ほど内包物が豊富なわけではないようです。そしてこのインクルージョンも錐面や稜線周辺にに集中する傾向にあります。

ブルーフレーム&マゼンタ発現

欧米ではブランドバーグのアメジストにもこの表現が多用されているようですがBlue Flameです。 直訳すると「青い炎」ですが、角度や光の透過によってパープルのアメジストがブルーを帯びて見える現象のことです。 明確に青、というわけではなく紫が寒色を帯びた紫(つまり青紫)に見えるのですが、この現象は紫が濃ければ濃いほど起こりやすいようです。ジンバブエ産アメジストスモーキーには錐面付近で際立ってアメジストカラーが濃いものが存在しますが、そのようなものほどブルーフレームが発現しやすいです。
また、同様に光の透過や角度によって紫が「赤み」を帯びることがございます。 これはマゼンタと呼ばれているようですが私が確認した限り、こちらも色が濃いものほど出現しやすい傾向にあるようです。 ブルーフレームが内部であれば、その周辺の色が少し薄い部分ほどマゼンタに染まりやすいような気がします。 対の現象として起こる事も多いです。
いずれにせよブルーフレームもマゼンタも色そのものではなく、光学現象によって起こるマジックのようなものではないでしょうか。 面と面を合わせるような角度や光の透過によって発現しますので、 光りにかざしながらくるくると回して観察してみて下さい。

層状に浮かび上がるピンクのフラッシュ

ブランドバーグや最近ではカンボジア産のアメジストにも見られる特徴になりますが、水晶の表面ではなく表層、表面から恐らく数ミリ程度の部分に層状のピンクホワイトの点状フラッシュが見られます。 明瞭なものはピンク色であり、スモーキーカラーのボディに浮かぶピンクは非常に魅力的です。 しかしほとんどのものはカラーレス(ホワイト)の微細な砂状光学現象であり、いわゆるコベリンによる「ピンクファイヤークォーツ」とは違うように思えます。 個人的にはこれをピンクファイヤーと呼ぶのには賛同しかねますので、ピンクフラッシュとしておきます。 ルーペで見る限りではその「内包物」は特定できないのですが、どうも内包物「そのもの」ではなく、内包物周辺がフラッシュしているように思えます。 微細な赤いヘマタイトインクルージョンに沿うようにフラッシュが見えるのですが、インクルージョン混入による小さなクラックがキラキラ輝いて見えるという可能性も。事実、ルーペで見る限りはピンクと言うよりも多色スペクトロが見られ、まさにこれは反射のように思います。 結局の所、光っているのが内包物そのものなのか、内包物の作りだした層の反射なのかはわかりません。こちらもX線解析しようと試みましたが露出部分がなく検出不可能でした。
いずれにせよこの「ピンクフラッシュ」が新産アメジストの魅力のひとつになっていることは疑う余地もなく、ピンクフラッシュが見られる水晶はロットで確認する限り10本から8本に1本(1割強)程度のようです。

水入り(エンハイドロイン)

スケルタル形状やセプター形状を持つ水晶には水が残りやすいのは皆様ご存知かと思いますが、この新産アメジストスモーキーにおいても水入りが多く見られます。
ざっとロットを数える限りでも10本に1本か2本程度、全体の10%程度かそれ以上にエンハイドロ(液状インクルージョン)が確認できます。 内部には縦横無尽に水脈が見られるものが多く、それがまた特異な内部世界に一役買っていると言えるでしょう。 しかしながら水脈が非常に細いためか、動く気泡(バブル)も小さいものが多く、動くバブルを見つけるのが非常に大変です。 加えてアメジストとスモーキーという色の暗さが、一層バブルを見つけるのを困難にしています。
一般的に水晶は「水入り」ほど値段が上がる傾向にありますが、こちらのアメジストスモーキー原石に関しては水を見つけるのも面倒なほどです。 当店においては「水入り」表記が「なし」ても水があるものが多々あるかと思いますので手にした方は肉眼で凝視&ルーペで血眼になって動くバブルを探してみて下さい。 光りにかざしながら水晶を動かすと見つけやすいです。

圧倒的な外観を持つジャガレー&セプター形状

新産アメジストスモーキーの外観はまさに唯一無二。 ユニークなセプター形状やジャガレー形状を持つ水晶が圧倒的に多いのに加え、 成長が早いと面の生成が追いつかずに起こる「スケルタル(骸晶)」であることも多いです。
興味深いことにロット全体の7割8割程度がセプター状の2次的な成長、つまり2段階の生成過程が見られます。 一段階目の生成過程においては水晶は無色透明(というよりも白濁した水晶)なのですが、 周囲の環境の劇的な変化により(温度や圧力の変化によるシリカの急激な増加と考えられている)、錐面周辺のみ急激な成長を起こします。 水晶の成長は電子運動の集中する「角」の多い部分から促進されるのですが、角が多い錐面周辺の成長が一気に加速するわけです。
※水晶の生成過程等は専門文献を漁ると科学的根拠に基づいた記載が多く見つかりますのでご参考になさると良いかと思います。 すると和名「松茸水晶」の如く、笠のような大きなキャップが幹となっている水晶に覆い被さります。 結晶が同軸で折り重なるように生成しているジャガレータイプ(いわゆるエレスチアルと呼ばれる形状)においても同様で、 白濁した基幹の水晶の上からいくつものスモーキー/アメジスト水晶が折り重なっている形になっております。 ですのでジャガレーというよりもこれも変形のセプター考えても良いかもしれません。 いずれにせよほとんどの結晶が2段階の生成過程を経ており、 基幹が白濁水晶で「笠」部分がスモーキー/アメジストであることは同産地の特徴的な外観だと言って間違いないでしょう。
※また、近年このような水晶を「エレスチアル」と呼ぶ傾向にあるようです。 エレスチアルは定義が非常に曖昧でありどのような水晶を指しているのかもわからず、パワーストーン的な意味合いも含まれるので当店では用いておりません。

ジンバブエ産アメジストスモーキー原石のグレード評価基準

現状持ち合わせてるロット全体で比較しながらグレーディングしております。
そのものの「美しさ」はもちろんですが、希少性は相対性でもございます。相対的に少ないものほど価値を上げております。また20年に及ぶヒマラヤ水晶原石販売の経験から、特に水晶原石を「見る目」に関してはそれなりの見識とセンスがあると自負しており、経験と知識を元に下記事項を総合的に判断して☆を付けております。

1.水晶そのものの透明感
2.ダメージ(剥離や欠け)の少なさ
3.外観のユニークさ
4.内包物の世界観や内包物の希少性
5.店長の好み(少し主観が入る場合もあり)

以上の点を大まかな基準としながら、ジンバブエ新産アメジストとして特徴的な以下のエッセンスも加味しております。各商品ページに項目がございますので選ばれる際の参考として下さい。
※表の左ほど価値(☆の評価)が高くなります。

ブルーフレーム(マゼンタ含む) 強い あり 少しあり なし
ピンクフラッシュ 強い あり 少しあり なし
水の内包(バブル) 複数あり あり 恐らくあり なし
人工処理の有無 なし ごく弱いバフがけ バブがけ 研磨面あり 完全研磨

※完全研磨ものも持っておりますが、全研磨はもはや原石ではないので別コーナーとして販売予定です。

補足:重さによるグラム単価の違い

また今回はグレードによる一律のグラム単価で値段を付けているわけではなく、重さでグラム単価を変えております。
例えば同じ☆9のグレードを持つ商品がふたつあったとしてAが10グラムのもので5,500円だったとしましょう。そしてBが100グラムで33,000円です。 同じ☆9でもAはグラム単価550円でBはグラム単価330円となるわけです。
これは小さなものを安く販売しても割に合わないということ、大きなものを同じグラム単価で付けると高くなって売れ残ってしまうという理由からです。ご理解のほどよろしくお願い致します(そもそもここまで記載するお店もなかなかないと思いますが) 小さいものほど「割高」と考えるのではなく、重いものほど割安と考えて頂ければ幸いです。 余談ですが石の取引は基本的に「重さ」の価格がベースとなります。まず重さの表記のない石はそれだけで比較ができないということ(販売サイトにおいて石の重さの表記は必須です)石を比較検討する際はグラム単価に置き換えて検討することをお勧め致します。

実は100%未処理の水晶原石なんてほぼ無い?バフがけやシュウ酸クリーニングについて

今回の仕入れにおいてはバフがけも入荷しております。事の経緯はもともとブランドバーグアメジストを頼んでいた業者が「ブランドバーグはないが、こんな新産地があるよ」というところから始まったのですが、最初に持ってきたものはバフがけされた原石達でした(バフがけに関しては後述) そしてバフする前のものはあるか、と尋ねた際に「あるよ」と持ってきたのが産地直送?出てきたてホヤホヤ、まだ酸化鉄を被っている状態の未処理原石でした。
バフがけロットも素晴らしく、未処理ロットも素晴らしかったので(クリーニングするのが面倒だと思いながらも)両ロットとも買い取りました。
鉱物標本のコレクションとなると特に日本では未処理至上主義思考が強く、処理されているだけで忌み嫌われる傾向にあります。 が、実際に産地からそのまま出てきた石を見ればわかりますが「出てきたままの状態」で綺麗なものなどほとんどありません。それに加え、「処理無し」として売られているものが、どれだけ本当に処理が無いと思いますか。原石販売において何も記載が無ければ当たり前にそれが「未処理」だと思いますか?
今回のロットにはバフがけや一部研磨も含まれるため、当店ではそれらもすべて記載しております。ここではクリーニングの過程を見ながら、そちらの解説をしてゆこうと思います。あとは皆様が「コレクションにおいてどういったものが欲しいか」ということを自分自身に問いながら選ぶ喜びを感じて頂けたら、と思います。

選別作業
この中から「1.そのままの状態で綺麗なもの」「2.シュウ酸浸けが必要なもの」「3.バブ掛けが必要なもの」「4.研磨やカボション等のカットに回すもの」「商材としての価値に乏しいもの」に分けます。 ロットにより差があると思いますが、このロットに関してはあくまで感覚ですが1が10%程度、2が10%、3が20%、4が30%、5が30%程度のように思いました。
そのままの状態で綺麗なもの
これらは全体の10-15%程度なのでは?と思います。 ただし当然なのですが水洗いや歯ブラシでゴシゴシは行っております。石鹸をつけると泡に酸化鉄の黄色が移るのでわかりやすいで石鹸で洗われています。当然クリーニング程度は「加工」「処理」とは思わないでしょうが、人の手は加わっていますよね。
当店の表記では人工処理の有無:なしになります。
蓚酸(シュウ酸)浸けが必要なもの
酸化鉄分の付着が激しいものは水洗いやブラシで擦る程度では除去できません。このようなものはシュウ酸による洗浄が必要です。シュウ酸は薬局で連絡先を記載すれば誰でも手に入りますが、取り扱いは若干注意が必要です(手荒れや蒸気を吸い込むとむせる、周囲のものが錆びる程度ですが) しかしなかなかに大変な作業でしてすべての工程を含めると1週間程度掛かります。シュウ酸浸けはほぼ全会一致で加工・処理とはみなされないでしょう。
当店の表記では人工処理の有無:なしになります。
補足:シュウ酸でも完全に綺麗にはなりません
被膜のように強くこびりついている酸化鉄は除去できません。また、水晶の曇りも除去できません。例えば隣の写真のような水晶をどう思いますか?水面のたった一面だけ被膜のこびり付きがあり、曇っております。ここが曇っておらず、全面から内部世界が覗けたらどんなに綺麗でしょう。 それでも曇りを味として未処理にこだわるもよし、一面だけバフがけしてクリアにするのも水晶の美しさを引き出すという意味でも良しではないでしょうか。
補足:ピックやルーターで更に綺麗に
例えばスケルタル形状の凹み深くに入り込んでしまっているものはシュウ酸でも除去できません。結構役に立つのがピックや針、そしてルーターです。これらでがつがつ酸化鉄を掻き出せば意外によく除去できたりします。特にダイヤモンドビットは強力ですが、酸化鉄部分からビット滑ると水晶を傷つけてしまいます。
バフがけが必要なもの
上記の通りシュウ酸ではある程度の酸化鉄分が除去できるに過ぎず時間も掛かります。被膜のようにこびり付いた酸化鉄分はバフ掛けで除去できます。バフがけは表現が難しいのですが研磨しない程度の研磨です。回転するブレードやルーターに水(場合によってはクリーニング液も)を掛けながら水晶を押し付けて汚れを掠め取るイメージでしょうか。尚、ブレードにはフェルトや凸凹のゴム、シリコン材などが使われます。バフがけは程度によって仕上がりが異なります(以下参照)
ごく弱いバフがけ
ごく弱いクリーニング程度のバフがけです。この表記があるものはごく一部(被膜のような汚れがあった部分)しかバフ掛けがされておりません。当然のことながら柱面の条線ははっきりと残っており、錐面の成長模様やレコードキーバーや凹凸もしっかり残ります。それどころか先端のチップ(ダメージ)等も残ります。もはやこの程度は処理とみなさなくても良いのでは、と思いますが表記上は「ごく弱いバフがけ」としております。個人的には「ごく弱いバフがけ」が最もこの産地のアメジストの魅力を引き出しているように思います。
バフがけあり
被膜のこびり付きや酷い汚れが多面(広範囲)に及ぶときは全体的なバフがけも必要となります。場合によってはクリーニング液も用います。しかし強めのバフがけでも表面がフラットになることはなく、弱いバフがけ同様に柱面の条線や錐面の成長模様や成長丘、チップ(欠け)に及ぶまでそのままに残ります。しかしバフがけが強いと稜線が少し丸まります(これは見慣れていないとわからないのですが)
複数面にバフがけがあるものを「バフがけ」「バフがけあり」と表記しております。
補足:バフがけによる稜線の丸み
水晶の条線や天然の模様や凸凹を残したまま皮膜状のこびり付き程度ならば除去できるバフがけですが、弱点は稜線が少し丸みを帯びることでしょう。汚れが強いと水晶をかなり回転ブレードに押しつけるわけですが、その際に尖った部分が丸まってしまうのです。ただし、これがバフ掛け「あり」「なし」を見分ける判断点になるので知っておいて損はないでしょう。
←バフ掛けが強いと稜線に丸み、そして照りが強い。
補足:市場でもかなり多いのでは?
ブランドバーグをはじめアフリカのアメジストは全般的にこのような鉄かぶりや皮膜が多いのではないかと。海外業者はジンバブエ産アメジスト(シャンガン含む)や カリバの水晶、ブランドバーグもそうですがインスタで動画を投稿しているのをよく見かけませんか?あれらのいくつかはバフ掛けや一部面の研磨があると思います。実際「これ稜線丸まってるな」というものが散見されます。しかし表記は大体無し。バフ掛けは「悪」ではありません、それを表示しないのが悪なのです。 
研磨面あり・完全研磨
左写真のようなすりガラス状のミルキー(曇り)を持つ水晶はバフ掛け程度では曇りは取れません。これは汚れではなく水晶そのものがそういう表面を持っております。このような面の曇りは磨くしかありません。完全に「処理」「加工」と言って良いでしょう。鉱物標本のコレクションとは異なりますが、綺麗に生まれ変わらせるという意味でカット品(カボションや丸玉・彫刻品)と同じ扱いでよいでしょう。
当店では別ページで販売予定ですが「研磨面あり」「完全研磨」となります。
研磨ものも綺麗です
このような感じで内部は物凄く綺麗に見えますね。色や内部世界は天然のまま楽しめます。表面はツルツルでフラット、条線や成長模様や自然の凹凸は一切無くガラスのような表面です。 表面に大きな汚れが付着している場合や著しいダメージがある場合は、それらを根こそぎ削ってしまいます。
補足:30%の商材にならない石達
「30%程度は売り物にならない」と記載しましたが、こういったものたちです。バフ掛けでは除去できません。研磨したところで内部が綺麗なわけでもありません。加工にも適さず。 こういう石もたくさんありますので、我々が目にする石達は本当に精鋭だということを知って頂きたいです。
裏話:本当に天然ですか?
表記が無いは恐ろしい?水晶のみならず鉱物全般ですが、表面に曇りがあることは良くあります。それを隠す方法があります。安易なところでは「油を塗る」 それだけならばまだしもシリコンコーティングやガラスコーティングもあります。見た目にはわかりません。溶剤を塗布してみればコーティングが落ちるかも知れません。逆にご自身の石で曇り面が気になるものがあればコーティング剤を塗布すれば曇りが消えますのでお試しあれ。※目の細かい紙やすりで「研磨」してしまうという方法もあります。

ネーミングと今後起こりうる問題

ジンバブエ産アメジストとして主に欧米市場を賑わせているのは「シャンガンアメジスト」です。このネーミングは非常に秀逸であり名づけの親であるアメリカ人団体のセンスに脱帽するばかりです。それこそ「ヒマラヤ水晶」や「ブランドバーグアメジスト」といったブランディングの確立に近いものを感じますし、それらと同等の魅力を秘めた水晶であることは疑う余地がございません。 シャンガンアメジストいう言葉の響きも素晴らしいですし、その言葉だけで背景的物語まで垣間見ることができます。しかし今回、敢えてこのシャンガンアメジストという言葉を使わなかったのは理由がございまして、まずひとつは今回のロットはジンバブエ産までは間違いなくてもそれ以上の詳細地域に関しては確証が持てないということ、それと共に(非公開)

それは初期の「スーパーセブン」を感じさせますし(某社の認定が必要とか)、ヒマラヤ水晶でいうなればどこまでが「ヒマラヤ水晶」なのか問題に通じるものがございます。また、ネームバリューは産地偽装を生み出しますし価格の高騰に繋がるのが石の辿る道なのは皆様ご存じでしょう。今回アフリカ各地のアメジストに関しても調べられる限り調べたのですが、アフリカ各地で同時多発的に同じようなアメジストスモーキーが採れているのは何故でしょう。又聞きではございますが、アフリカのディーラーは伝統的に産地を隠したがるということを聞いたことがございますし、その辺りにも疑問が残りますね。
いずれにせよ今は当店においての呼称はジンバブエ産アメジストスモーキーとさせて頂きます。新たな情報が得られましたらまた一緒に探求しましょう。


【 ご注意下さい 】
今回のジンバブエ新産地アメジストスモーキーですが、まだまだ未知の部分が多いです。我々日本人にとってアフリカ大陸自体が距離的にも文化的にもあまりに遠いということも相まって情報を収集するのにも大変な時間を費やしました。 調べるにつれ疑問符が残る部分が多くございましたし、信頼のおける文献やデータがあまりに不足しておりました。
少ない情報やデータ、そして最も重要な「ソース」である手元の「水晶」達を注意深く観察し、情報の欠片と欠片を繋ぎながら記述を進めさせて頂きました。情報の断片を整理し精査し繋げ合わせ、そこから自身の知識や経験を元に推測や見解を導き出してゆきましたが推測の域を越えない部分が多々ございます。こちらの記述は我々の見解であり、信頼のおける情報となりうると思っておりません。安易に流用しないようよろしくお願い致します。急速な広がりを見せているジンバブエ産のアメジストですからこれから数年のうちにもう少し明らかになってくる部分があるかと思います。
また記述の中には言及を避けなければならぬ箇所がありましたことをお詫び申し上げます。

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